ステロイド外用剤 服用指導コツ

皮膚科の処方において、ステロイド外用剤の知識は必須です。服薬指導に是非お役立てください。

【①ステロイドの強さ】

ステロイド外用剤を語る上で必ず把握しておかなければいけないのはステロイドの強さです。

強い順にストロンゲス ト(Ⅰ群),ベリーストロング(Ⅱ群),ストロング(Ⅲ 群),ミディアム(Ⅳ群),ウィーク(Ⅴ群)の 5 段階 に分類されます。

外用剤のランクを全て暗記するのは難しいので、よく出るものだけでも把握しておきましょう。ネットにイラスト付きの表がたくさん掲載されているので、印刷して白衣に忍ばせておくと便利です。


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【②部位別経皮吸収比】

服薬指導でステロイドのランクを説明しても、患者さんにとっては「だから?」っと受け流されることが多いです。

大切なのは、どのランクのステロイドが処方されているかではなく、塗る部位にステロイドのランクが見合っているかを薬剤師が判断することです。

そこで重要になってくるのが部位別経皮吸収比です。皮膚は場所によって皮膚の厚さが異なります。顔は柔らかく、踵は分厚く硬いです。それによって外用剤の吸収具合も異なります。それをわかりやすく表したのが部位別経皮吸収比です。

これは、ヒドロコルチゾンを前腕内側に塗ったときの経皮吸収を1とした時のそれぞれの経皮吸収比を表したものです。

顔(前額部)は6と腕の6倍吸収されるのに対して、足底では0.14と約1/7倍です。

その為、顔には弱めのミディアム、足には強めのベリーストロングを使うことが多いです。

その為、顔にベリーストロング(Ⅱ群)が処方されたり、足に対してミディアム(Ⅳ群)が処方されている場合、疑義照会が必要の事が多いです。ただし、皮膚科医の考えあっての処方かもしれないので、まずは事情を聞き取りましょう。

複数塗り薬が処方されている方は、塗り間違えに気をつけるように指導します。

具体的にはステロイドの強さを一つ一つ説明するのではなく、「ステロイドの強さがそれぞれ違うので、指定の部位以外には塗らないで下さい」と伝えると分かりやすいです。

1剤の方で、強めのステロイドが処方されている方には「強めのステロイドですので、顔や首への使用はやめてください」と伝えるといいです。


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【③副作用】

ステロイドを極端に怖がる患者さんがいます。ドラマやメディアによる負のイメージ故です。

しかし、内服と外用では副作用のリスクは天と地です。まずはその事を伝え安心して頂きましょう。

アトピーなどの長期皮膚炎を除き、外用剤とはいえ長期的な使用は好ましくないです。痒み、赤みが引いている場合は使用を継続しないように指導しましょう。

皮膚萎縮や毛細血管拡張により肌の変色を認める場合があります。

わざわざ説明する必要はありませんが、無症状で慢性使用してる方にはデメリットを説明してあげてください。

【④塗布量】

薬の効果をしっかり得るために塗る分量の目安としてFTU(フィンガーチップユニット)と呼ばれる単位が使われています。

 

FTUは大人の人差し指の先から第一関節まで薬を乗せた量で、チューブタイプの軟膏やクリームでは、1FTU=約0.5gに相当します

1FTU(約0.5g)は、大人の手のひら2枚分を塗るのに適した分量の目安です。

塗る量が少し多いと感じるかもしれませんが、十分な量をしっかり塗ることで、期待する効果が得られやすくなります。

 

ローションタイプの場合は1円玉大が1FTUの目安です。


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歯科 服薬指導のコツ


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薬剤師にとって悩みの一つが、服薬指導で何を説明すればいいか?です。

今回は最も基本的で、簡単な歯医者の処方箋の服薬指導について説明します。

もちろん抗生剤を突き詰めれば、かなり複雑になりますが、今回は薬剤師1,2年目の初心者向けの内容です。

①鎮痛剤

抗生物質

③うがい薬  の順で説明していきます。

 

【①鎮痛薬の服薬指導】

ロキソニンボルタレン、カローナルなどが有名です。3日分ぐらいの処方が多く、用法通りの服用を指導します。

 

よく患者さんからくる質問としては、「痛くなければ飲まなくてもいいですか?」です。

 

答えは、「痛くなければ飲まなくてもいいですが、炎症を抑える効果もあるので、初めの1,2回分は服用することをお勧めします」です。

治療中、又は治療直後は麻酔を受けて痛みが鈍化している場合が多く、麻酔が切れてくると痛みが増してきます。それも踏まえ、初めの1,2回分は服用を推奨しましょう。

頓服の場合は、添付文書の用量を頼りに、

1日2回までであれば6-8時間以上、

1日3回分であれば4時間以上

服用間隔を空けるように指導しましょう。

 

妊娠、妊婦に対してはカローナルが無難です。カローナルは小児にも使用できる比較的安全性が高い薬です。

 

それ以外も使用できますが、歯科においては頓用でなおかつ服用日数が少ない。という点が考慮されている事を念頭に入れておきましょう。

ただし、妊娠後期ではカロナール以外は基本NGです。妊娠後期でロキソニンが出た場合は念の為、疑義照会も考慮しましょう。

 

痛み止めの違いについては別の記事でご紹します。

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【②抗生物質の服薬指導】

抗生物質は数多の処方がありますが、指導内容はごく単純です。

 

「重度の下痢が起きない限り、飲みきってください!です。」

 

抗生物質は歯科においては、傷口の化膿止めとして処方されます。

痛み止めと違って、患者さんにとっては飲んでるメリットを体感しにくい薬です。その為、途中で服用をやめてしまう方もいらっしゃいます。それを防止するのが我々薬剤師の役割です。

 

抗生物質はきちんと飲みきらないと、菌が殺しきれず、それにより抗生物質への耐性を獲得する菌が繁殖する可能性があります。

いわゆる薬剤耐性菌です。

これを獲得してしまうと、以後抗生物質が効きにくくなってしまいます。

抗生剤は歯科治療、風邪、膀胱炎、胃腸炎、など多岐に渡って使用されます。抗生剤が今後効きにくくなってしまうことはとてつもなくデメリット言えるでしょう。

 

大抵の人は問題なく飲めますが、稀にノロウイルスのような重度の下痢を起こしてしまう方もいらっしゃいます。そういう方はすぐに中止を指導しましょう。抗菌除菌よりも体調の改善を優先します。

 

便が少しゆるくなる、下痢気味。この程度の中程度の下痢に対しては飲みきって頂きましょう。患者さんには抗生剤服用を続けるか辞めるかの判断は難しく、電話で相談頂くことが多いです。薬剤師が適切に判断し指導を行いましょう。f:id:netyauzaisi:20211017210129j:image

【③うがい薬の服薬指導】

うがい薬は希釈して使用するものが多いです。希釈濃度も薬によって違うので気をつけましょう。

ご高齢の方だと、原液のまま使用しようとする方も意外と多いので注意が必要です。

 

また、歯科で愛用されているネオスグリーンは、口腔内消毒 と 抜歯後の感染予防 で希釈濃度が違うので気をつけてください。