歯科 服薬指導のコツ
薬剤師にとって悩みの一つが、服薬指導で何を説明すればいいか?です。
今回は最も基本的で、簡単な歯医者の処方箋の服薬指導について説明します。
もちろん抗生剤を突き詰めれば、かなり複雑になりますが、今回は薬剤師1,2年目の初心者向けの内容です。
①鎮痛剤
②抗生物質
③うがい薬 の順で説明していきます。
【①鎮痛薬の服薬指導】
ロキソニン、ボルタレン、カローナルなどが有名です。3日分ぐらいの処方が多く、用法通りの服用を指導します。
よく患者さんからくる質問としては、「痛くなければ飲まなくてもいいですか?」です。
答えは、「痛くなければ飲まなくてもいいですが、炎症を抑える効果もあるので、初めの1,2回分は服用することをお勧めします」です。
治療中、又は治療直後は麻酔を受けて痛みが鈍化している場合が多く、麻酔が切れてくると痛みが増してきます。それも踏まえ、初めの1,2回分は服用を推奨しましょう。
頓服の場合は、添付文書の用量を頼りに、
1日2回までであれば6-8時間以上、
1日3回分であれば4時間以上
服用間隔を空けるように指導しましょう。
妊娠、妊婦に対してはカローナルが無難です。カローナルは小児にも使用できる比較的安全性が高い薬です。
それ以外も使用できますが、歯科においては頓用でなおかつ服用日数が少ない。という点が考慮されている事を念頭に入れておきましょう。
ただし、妊娠後期ではカロナール以外は基本NGです。妊娠後期でロキソニンが出た場合は念の為、疑義照会も考慮しましょう。
痛み止めの違いについては別の記事でご紹します。
【②抗生物質の服薬指導】
抗生物質は数多の処方がありますが、指導内容はごく単純です。
「重度の下痢が起きない限り、飲みきってください!です。」
抗生物質は歯科においては、傷口の化膿止めとして処方されます。
痛み止めと違って、患者さんにとっては飲んでるメリットを体感しにくい薬です。その為、途中で服用をやめてしまう方もいらっしゃいます。それを防止するのが我々薬剤師の役割です。
抗生物質はきちんと飲みきらないと、菌が殺しきれず、それにより抗生物質への耐性を獲得する菌が繁殖する可能性があります。
いわゆる薬剤耐性菌です。
これを獲得してしまうと、以後抗生物質が効きにくくなってしまいます。
抗生剤は歯科治療、風邪、膀胱炎、胃腸炎、など多岐に渡って使用されます。抗生剤が今後効きにくくなってしまうことはとてつもなくデメリット言えるでしょう。
大抵の人は問題なく飲めますが、稀にノロウイルスのような重度の下痢を起こしてしまう方もいらっしゃいます。そういう方はすぐに中止を指導しましょう。抗菌除菌よりも体調の改善を優先します。
便が少しゆるくなる、下痢気味。この程度の中程度の下痢に対しては飲みきって頂きましょう。患者さんには抗生剤服用を続けるか辞めるかの判断は難しく、電話で相談頂くことが多いです。薬剤師が適切に判断し指導を行いましょう。
【③うがい薬の服薬指導】
うがい薬は希釈して使用するものが多いです。希釈濃度も薬によって違うので気をつけましょう。
ご高齢の方だと、原液のまま使用しようとする方も意外と多いので注意が必要です。
また、歯科で愛用されているネオスグリーンは、口腔内消毒 と 抜歯後の感染予防 で希釈濃度が違うので気をつけてください。